これが売り
荷造りをする事業者などから発注を受け、箱として使えるように板状の段ボールを裁断している。もっとも、会社の名前が売れているのはプラスチック製段ボール(プラダン)製品の製造、販売業者として。八年ほど前に名古屋の得意先の勧めで扱うようになり、県内で先駆的存在となった。
上條浩社長は「数多い紙の段ボール業者の中で仕事を取るには、価格競争のできる大きい会社が有利。小さなうちの会社は、変わったことをやらなければ」という。
耐久性、耐水性が高いプラダンは、紙製段ボールよりも再利用に強いことから人気が高まり、年々、注文が増加。今では紙製段ボールの二倍を受注しており、一日に千箱を作ることもあるという。受注先は県外にも広がっている。
箱としての使用が主流の紙製段ボールと違い、プラダンはカラーバリエーションが八色と豊富なため、ごみ箱のほか、本棚、書類棚などの家具も加工している。家電量販店の店頭に並んでいる使用済みインクカートリッジの回収ボックスも、上條紙工の製品だ。
飛躍のひけつ
大きく業績が伸びたのは「サンプルカットマシン」というコンピューターを導入した今年二月から。受注を以前の約1.5倍に増やした。
サンプルカットマシンは、パソコンに、受注した本棚などのプラダン製品のサイズを入力するだけで、画面にその立体図を描ける。この図を完成イメージとして発注先に電子メールなどで送ることで、「より早く対応できるようになり、イメージもふくらませやすくなった。打ち合わせが効率良くできる」という。
また、パソコンに接続した裁断機が、その図どおりに自動的にプラダンをカット。手作業で三、四時間かけて作っていたサンプルを簡単に作れるようになった。
今後の展開
製品のバリエーションを増やしていくことに加え、サンプルカットマシンの特性を生かし、一般顧客から、インターネットでオーダーメードのプラダン家具を受注できないか考えている。
上條社長は「普通のやり方では面白くない。新しいものを考えないと先端にはいられない」と、常に一歩先を行こうと考えている。